リスト更新③2016年06月07日 01時16分16秒

これまでのところをおさらいしておくと、4本持っていたことがあるのはFender USA、Freedom Custom Guitar Research、Knooren Guitars、YAMAHA、5本持っていたことがあるのはAlleva-Coppolo、MTD、6本がKen Smith、7本がAlembicという順でした。

でいよいよ2位なのですが、こちらはすでに手放した物ばかりで、2002年より以前となります。
初めての1本は1989年のオーダーで、PBシェイプにブランドオリジナルのWハムバッカー仕様の、PJ的ともMM的とも言える特注品でした。
ワンピースの軽量なアルダーボディにシースルーのパールホワイト、指板はエボニー、ジュラルミンナット。
プロになったと線引きできる初仕事へはこのベースを携えて参加するも、古参のトランペッターに、聞いたことのない音と嫌われ、やがて不本意ながらJBをオーダーしました。

このPBシェイプには、同仕様で作ったフレットレスがあったことを、数日前に突如思い出しました。
PUをバルトリーニに交換した事がある、あれはどのベースだったかな?と思い巡らし、それまでに書き留めていたリストに漏れていたことに気付いたのです。
いや、交換しなかったな。
そう思ってPUを購入し、ついぞ使わず、共に手放したのだったかな。

最初のホワイトのは、結局一番最後まで持っていました。
本当に個性的で、鳴りが抜群で、ちょっと他に無い。
そして、先述のJBも90年代を通して殆どの仕事で使用し、同ブランドの5弦ベースをいくつか試した次に、Knoorenベースから6弦を模索する時代に入り、やがて人生の転機を迎えて、その時点で持っていた楽器を全て手放したのでした。

紹介が遅れましたが、以上はアートテックというブランドの話です。
製作された杉浦さんには、わたしの20代半ばから10年余り、ひとかたならぬお世話になりました。
本当に色々な事を教えて頂きましたが、ミレニアムを超えたところで疎遠となってしまい、心のこもった製作物を全て手放すに至って、その後ろめたさもあって、今も不通の状態となっています。

国内の楽器製作も、この頃は少し変化があるように思いますが、1960年代まで遡れば、ESPの椎野さん周辺の人物が牽引してきたというのが、部外者ではありますがわたしの歴史観です。
今でも業界をリードする現役の方々ばかりですので、彼等の送り出した様々な楽器を実際に使用してきた立場から思うところはありつつも、公に語るのは控えます。
しかし、中でもアートテックは、ずば抜けて良かったと明言しますし、そのおかげでわたしはこの仕事に就けたと感謝の弁しかありません。

生来の気質から、わたしは強く影響を受けた事柄にさえ、ある時をもって疑いの目を向けます。
信じる力が強いものですから、時に根幹を揺るがされる程の衝撃を受けると、そこから学べることを可能な限り受け入れてみます。
10年単位で時を経ると、自分の信じたそれが本物だったのか、ささやかながら検証してみます。
それはまた、影響下にあった時と同じかそれ以上の時間を必要としますが、咀嚼だけでは消化と言えません。

そう多くの事柄が、いまのわたしを形作ってるとも思えませんが、使用する楽器に関して、それを良いとか悪いとか、自分なりの判断を行えるのも、アートテック製の楽器で、使えるだけの時間をたっぷり練習に費やした時代があってこそだと考えています。

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