リスト更新②2016年06月06日 14時18分27秒

ランキング続編です。

なんのために順位を付けているかと言えば、大枚はたいて無造作に楽器を買っているわけではないことを自覚したいためです。
見た目に惚れる、ということもなかったわけではありませんが、何度も言うとおり、弾き心地について尋常ではないこだわりがあるらしく、ど真ん中のストライクを追求してきた履歴でもあり、そこには試みや迷いがあります。

塗色の嗜好も探ってみると良いと思うのですが、普段からフェンダー社がサーフボードに倣ったようにポップな色使いのオペック(塗りつぶし)が好きではありますが、案外そればかりではない気がします。
一番気に入っていたのは、言うまでもなくアレバ・コッポロのスパークリング・パープルでしたが、現在手元に残るフェンダーライクな楽器は青と赤のオペックで、サンバーストはあまり好きではありません。

付け加えれば、アッシュ材の太い導管が顕す筆で書いたような木目はあまり好きではなく、アルダーであったり、プレーンなメイプルであったり、はたまたスプルースのような淡泊な表情でないと楽器を手にした時に気持ちがくつろげません。
派手な色を好む一方で、派手な木目を嫌うのは、はじめ矛盾のように感じましたが、おそらくは前線を戦うパートナーには生き物然としたアピアランスより、道具的な無機質さを求める感覚を認めて、理に適うと思いました。

話が逸れました。
ベスト3を紹介します。

意外でしたが3位はアレンビックでした。
ブランドアイコンは、間違いなくスタンリー・クラークであり、彼のショートスケールベースなのですが、それと同型は1本だけで、ミディアムスケール(32インチ)は所有したことが無く、3本が34インチ、2本が35インチ、残りは33.25インチとなります。

ここは基本的に、スルーネック構造でオーダーする限り、好きな長さで、好きなフレット数、好きな弦間隔が頼めます。
ものすごく高価ですがフォデラ程ではなく、使用する木材は世界のトップ(匹敵するのはケンスミスだけではないかと思います)であり、望む物を生み出すという観点からは、唯一無二の存在と思っています。

音が好きかどうか、というのも、むろん大切な評価軸ですが、ベースらしい豊かな響きはきちんと備えており、決して電気の力に頼った音造りではありません。
オリジナルのPUは優れて素直な特性で、パッシブで使ったり、意味はありませんが他社製のプリアンプを繋いだりした経験もありますが、決して奇特な物ではありません。

シングルコイルの音をノイズレスで出したい、という単純な理想のために、大がかりな外部電源やダミーコイルを用いる”システム”サーキットも出音はピュアそのものであり、フィルターでクセを付けられる点ばかり強調され、個性の塊みたいに認識される傾向があるのは残念なことです。

アレンビック社の楽器は、その成り立ちから、ヒッピー思想やアート志向、そしてファミリービジネスというバックグラウンドが製品に色濃く表れており、好事家の嗜好対象に過ぎないと見られがちですが、プレイヤー思いのごく真っ当な楽器だと断言します。

元々、ベースギター、エレキギターの音域を下げたもの、として設計されている点、ボディが小さくローポジションが遠いなどの操作性の悪さを引きずっていますが、ボディデザインを決めるのも顧客の自由なのですから、むしろ既存の楽器が到達しないベストバランスを追求するのにもうってつけのブランドであり、わたしにとっての正味100本目だった楽器が、完璧にこれを達成しました。
いずれご紹介したいと思います。