Brubaker2016年07月04日 01時58分53秒

新しい楽器を買いました。
102本目だったかもしれません、ベースの。

先日お譲りしたFのVFですが、それによる資金を投入し、また某所で委託販売中だったBNが下取りとして旅立ちました。
2本手放し、1本獲得、ということになります。
本来、資金集めに幾本かの放流を決めたのは、新しい5弦ベースを入手するためで、それはおそらくはオーダーでしか存在し得ないだろうスペックだったために思い切るしかなかった次第。
その内容についてはここしばらく少しずつ触れておりましたが、電撃婚となった今回のお相手は、予期せぬ邂逅だったのです。

関内KAMOMEでのライブを二日後に控えた火曜日、当初使用予定だった4弦のKnoorenに新規の弦を試してみたいと都内某所で物色をしていて、なんとなしに目に入ったベースがそれでした。
ベースを選びに来たわけではなく、先述の通り、希望通りの仕様で作られたベースがそうそうないことを承知していたので、むしろそのことを確認すべく店内在庫の一通りをスキミングしていました。

へぇ、珍しいなと思ったのですが、やがて別件で他店へ赴き、そちらでも同様に新入荷の確認などしておりましたところ6弦が新着しており、薦められて試したところ好印象でした。
やがてはたと、先般の光景が脳裏をよぎり、あれもたしか6弦だったなと思い立って舞い戻り、慎重な試奏を経て決めてしまいました。
出会ったその日のお持ち帰りです。

タイトル通り、ものはBrubakerで、KXBというシングルカットデザインのボディを持つ、中でも装飾に力の入ったExtremeレンジの一品でした。
新しい5弦ベースではナローネック、弦間17.5mm@ブリッジ、22フレットを譲れないポイントとしており、その理由は左手の疲労軽減が主なものでした。
しかし、ただでさえワイドな6弦ベースであり、弦間19mmピッチ、24フレット、そしてスケール34 5/8インチ(Fの34.5よりも更に長い)という、真逆の方向性へ走ってしまいました。

我が家に、実は6弦ベースはあります。
記憶が確かであるならば生涯100本目のアニバーサリーとなる、長きにわたる製作期間を経て完成した実験的要素満載のHi-F仕様の特殊機です。
これは、実はまだ弾きこなせていないし、迎えるライブに相応しい武器でもなかった。

けれど、4弦で臨むのは、心の奥の方でコンサバ過ぎるのでは、と警鐘が鳴っておりました。

結局のところ、このbrubakerが、その日演奏する音楽に与えうるテクスチャーを妄想してしまったのが、衝動的に新規5弦ベースを実現する機会を放棄してしまった(延期ですがね)唯一の理由です。
むろん、出会っていなければ、こんなことにはなっておりません。

火曜の夜に持ち帰り、水曜の朝からリハーサルで使い、木曜日のライブ本番、翌日の仕事、翌々日の旅の共、その翌日も某バンド結成10周年記念パーティのステージと、連日連れ出して親交を深めております。

音色は完璧に気に入っているわけではありません。
PUかサーキット、あるいはその両方に手を入れたいと早速考えています。

重量もいかんともしがたいです。
計測しておりませんが5kg前後と、充分辛いと思わされるほどの重量です。

ただし、ストラップで吊った時の演奏フォームの決まり具合が、市販楽器のベストではないかというくらいよろしい。
それでやっていけるのでは、と考えたわけです。

またご紹介する機会を設けますが、最後に一言。

家に残しているLo-B 5弦は33インチのCitronただ一本になってしまいましたが、この34.625インチBrubaker6弦と、スケール換算で較べるPU位置がぴったり同じだったんです。
その位置はフェンダーと一致しませんが、両者はダブルHB仕様であり、キャラクター的には方向性も同様です。
なにか、アメリカン・ルシアーにはPUロケーションのコンセンサスができているのでしょうか。
はたまた偶然の一致なのか、あるいは指標となる(コピー元となる)実機が存在するのでしょうか(例えばgibsonTBとか?)

Brubaker ②2016年07月05日 22時28分16秒

私のとそっくりさん
私が手に入れたKXB-6は新品でしたが、特価品扱いで中古並みとは言えませんが、まずまずの値引きがありました。
楽器店がwebにアップする前でしたので、その経緯などについては明かされておりませんが、それなりに謎めいております。

KevinはInstagramをやっており、製作途上の写真も多くアップしておりますので、この楽器の製作過程を見られないかと辿っていきますとそっくりな個体に出会います。
何しろ、付属するマッチングカラーのフィンガーランプが特異な形状をしており、インスタのキャプションではユーザーの指定によるものと書かれており、日本へ出荷されるとあります。

ただし、同一のフィニッシュであることを含め仕様上は限りなく似ているものの、これと同個体ではありません。
まずトップ材のバールメイプルの木目は異なります。
ボディトップには独立したミニスイッチが2個ありますが、私のには1個だけです(おそらく1個分はスイッチ付きポットに変更されているだけで機能は同じではないかと想像します)。
画像の指板にはヘ音記号のインレイがありますが、私のにはドットのポジションマークのみで、サイドポジションにルミンレイが使用されているように見受けられるものの、私のは貝です。

というように非常に似通った2本のベースが国内に入ってきていたという興味深い事実が伺われます。

分かる範囲で、私の楽器の仕様を列記すると、アッシュボディ、バールメイプルトップ、2ピースアッシュネック、バーズアイメイプル指板(ブラックに塗装されている)、グロスフィニッシュ、バルトリーニPU&サーキット。

PUはダブルコイルで、3ポジションのミニスイッチでプリセットされたコイル選択が可能です。
Wハム/フロントシングル・リアハム/Wシングルの組み合わせです。
Brubakerは元々Bartoliniのクワッドコイルが標準で、このようにシングルを選んでもスプリットコイルのハムキャンセルになっているはずですが、当機はハムが出るのでクワッドではないようです。
真ん中の組み合わせはラインがクリアに出て好きなのですが環境によっては使えないのが残念です。
楽器単体ではWシングル(ハムキャンセルされます)もなかなか良い音ですが、シングルとして設計されるJB用などに較べて線が細く、バンドでは負けがちで私は使いません。

個人的な印象でしかありませんが、バルトリーニPUとアギュラープリアンプの組み合わせが良かったことがあり、両バルトリーニの本機のPUかサーキットのどちらかを別メーカーに交換してみたいと考えています。
ちなみに、Humpback Engineeringの楽器搭載用のプリアンプをストンプボックス化した製品を持っており、この楽器のパッシブ出力を受けて音出しすると、内蔵バルトリーニよりも解像度が確実にアップします。
一般にEQをブーストした時の、嘘っぽい音の太さや強調されすぎる輪廓が好きではないため、本機もアウトボードもブーストには使いませんが、よりプッシュしたい時には楽器内蔵のプリアンプもアクティブにして、プリアンプ直列駆動にすることもあります。

音は、多少古いですが仕様の似通ったこちらの動画が近いです。
https://www.youtube.com/watch?v=xGLDRjyVhC4

Brubaker③2016年07月06日 01時14分34秒

一応顔見えないんだけど更にモザイク加工もしました
自分のはこんな感じです。
先日のライブ画像など、また写真が届きましたら載せさせて頂きます。

小っちゃい写真2016年07月07日 13時59分49秒

リハーサル時の風景
共演の石毛さんがブログに貼ってくれている画像がBrubakerの弾き姿をよく顕しておりましたのでこちらでも。
ただ画像がちっちゃいです 笑

このようにネックが立ってくれるのが非常にありがたいです。

ライブ音源2016年07月09日 14時13分34秒

バーズアイメイプル指板であることがわかります
6/30のライブを客席からICレコーダーで録音したmp.3のデータを頂き、振り返ってみました。
音楽的な話はここでは行いませんが、予定外に突然入手してほぼぶっつけで試した新しい6弦ベースの音がどのように届けられていたのか確かめる貴重な資料となりました。

アンプはいつものMarkbass Momark(EQをスルーしたシンプルなセットです)をヘッドに、Epifaniの15” 2wayにAccuGrooveの12” 3wayを積み上げて使用しました。
普段はMarkbassの2x12”で仕事していますが、音の良いライブハウスへの出演ですので、私の考えるフルレンジ再生にもっとも近づけるスピーカーシステムで臨みます。
ちなみにアンプ裏からXLRでPAに取っていますからライン音も外へは多少出ているようです。

足元にはHumback Enginneringの3バンドEQ/プリアンプ、Shin’sのパーフェクトボリュームペダルを通ってアンプ・インです。

このベースの音は、アッシュボディ、メイプル指板という組み合わせで想起される70s JBとは大分異なっていて、その原因は2ハムのPUだったり6弦用のネック幅とシングルカットのボディデザイン(ではありますがネックはボディの延長部と接続されていません)によるものであると同時に、ネック材がアッシュであることも大きく作用しているように感じます。

アッシュネックと言えばFoderaでそのアイディアを知りましたが、ラテンジャズの分野でも名高いLincoln Goinesのシグネチャーモデルでの採用が、一般的になる始まりだった気がします。
Foderaは他材を加えて5ピース程でリジットに組みますが、より素材の音を表現する構造である1ピースネックを採用するMTDでもメジャーなオプションとして、個人的には数々の個体を試奏することができました。
そしてその印象はいずれも良いものでした。

比較のしやすいMTDでの印象を言えば、耳に馴染んでいるメイプルをニュートラルとするならば、アッシュネックの楽器はレンジ感としてはトップが自然にロールオフした音の丸みと、ローに力強さのある重心の低さを備え、どことなくアコースティック感も含んだ太いベースラインを表現します。
MTDの、ハイファイの極みみたいなバルトリーニセットによるものか、材の違いは非常にわかりやすい上、多少鼻づまりな材を使ったとしても抜けなくて困ることのない(むろん良材の使用、優れた設計、作り込みの入念さが元にあるのは間違いありませんが)基本性能故に、アッシュネックにネガは見られません。
試した数は遙かに少ないですがFoderaにおいても、一般に私の印象としては固い音のブランドである故、暗い音である印象はありません。

ところがこのBrubakerは、ウォルナット系のそれとは違いますが、結構ダークでした。
低域に行くに従い、弾力感のある鳴り方が、このベースをつまらないものに陥れることはありません。
太さ、暖かみとも充分で、音の立ち上がりも早いです。

一方でD線、G線、C線と高まるにつれ鳴りの元気が失われます。
例えばスラップのプルが、音質的には気持ちよくても、ボリュームが不足してパンチが出ません。
全音域を通じてスムースであり、統一した印象を持ちますが、上に行く程細くなっていくのが残念なのです。
なんとなく、そこにアッシュネック材の性格を思い出さずにいられません。

しかしながら、生まれて間もない楽器であろう事から、今後の鳴らし込みによる好ましい変化を期待しましょう。

同時に、エレクトロニクスについては検討を始めてみたいと思います。
PUバランサーにACポットが使われていて、センターで音量が落ちていますので、まずはここら辺から手を付けてパンチ不足の解消へ向かいます。