迷っています2016年05月28日 14時27分03秒

今ある演奏機会のうち80%はビッグバンド(あるいはオーケストラ)の一員として、椅子に腰掛けて、目の前に置かれる楽譜を忠実に弾くというもので、これは少々世間一般のエレキベース奏者のスタイルとは異なるような気がします。
座って弾くことに馴れているため、当然のごとく立って演奏するライブなどでも、支障がなければスツールなど用意して座りたいと思っています。
普段の練習も座って行いますので、足の上に乗せた状態で、自分の演奏する楽器に、自信を持って対峙することができます。

むろん立って弾く場合にこそ重要な問題ではありますが、重量のために下がってしまうネックを運指に使う左手で支えながら弾く、ということが何よりも嫌いです。
わたしは、足の上に置いたときに、両手とも離して、楽器が置かれたままの状態を保つ重量バランスに作られている楽器こそが必要だと、常々思っていました。
右腕をボディに掛けて固定する、というのも行いたいピチカートの動作に悪い影響がある(と確信しておりますが…)ので除外します。
立って弾くときには、ストラップのピンがどの位置にあるかも重要で、それは座って弾く時に無視できないポイントでもあります。

そうすると、例えば、フェンダー社が正規に送り出してきた楽器類は、ほぼ全部気に入りません。
ただし、うまくすると良好な部類に転じます。
ヘッドに取り付けられている重量物である糸巻きを社外品のできるだけ軽量なものへ付け替えるということを行います。
音が悪くなる、という多くのインプレッションを見ることができ、事実わたしもそれを思わされる事例に当たりました。
しかし、弾く気が起きないよりもましであり、長時間弾き続けて腕などに痛みを生じさせられるのもごめんです。
魅力的な音質が、弾き心地の悪さを妥協せしめるとは、わたしのこれまでの楽器履歴を見れば一目瞭然ですが、あり得なかったのです。
フェンダー型でもGotoh GB640や、Hipshot HB6などを使用して、なおかつ音質への不満を生じさせないもの、というのが近年探していた楽器であり、今手元にあって甲乙付けがたいアルダーとアッシュの2本のジャズベース・コピーモデルがそれにあたります。

さて、ビッグバンド系の仕事を長年続けていて、腰痛やら手首痛やら肘痛を職業病として煩ってきました中で、多弦ベースについてはいくつかの考え方の変遷があります。
アレンジャーは4弦のベースでアレンジを書いてはくれますが、ここぞでより低い音を鳴らしたい、あるいはその音をローB弦で弾いてしまえば著しく運指が楽になる、などの理由から、5弦ベースをメインにしたいと思うことが多々あります。
いつも呼んでくださるアレンジャーから、あなたのベースは下に音域が広がっているのですね、と確認され、ローB前提のアレンジを書かれる方もいらっしゃいます。

わたしにとって初めての多弦は90年代で、34インチ/24フレット/弦間19mmの5弦ベースでした。
次に35インチ/24フレット/弦間18mmの6弦ベースを入手し、せっせと練習をしていると、その後持病と化す左手首痛が初めて生じました。
一旦4弦ベースへ戻り、数年経って34インチ/24フレット/弦間18mmの5弦ベースを購入し、その後34インチ/21フレット/弦間19mmのフェンダー型5弦ベースに落ち着きます。
ほどなくして、常態化する左手首痛がしんどくなり、ミディアムスケールを模索し始めます。
33インチ/22フレット/弦間19mmという5弦ベースで、これは現在でも時々使用しており、この先も手放すことはないと思っています。

33インチという、若干短縮されたスケールの楽器に味を占め、多くの楽器を積極的に手放して、完全移行を目指します。
ところが4弦で製作してもらったミディアムスケールの楽器は、どうしても使う気になれないものでした。
その後色々試行錯誤をして、4弦は4段落前に述べました2本のJBへと行き着きました。

近年、スティーブ・スワロー氏のシグネチャーモデルを若干モディファイした35インチ/24フレット/弦間17mmというアコースティックベースを使い始め、また足かけ6年の製作期間を経た33.25インチ/22フレット/弦間17.5mmというフルオーダーのハイーF6弦ベースができあがってきたのを弾いた上で、幅の狭いネックが楽であると結論づけることができました。

巷間言われる、弦間が狭いとスラップのプルで指が入りにくいとか、かつての自分が思っていたのは、十分なピチカートの振り抜きができないだとか、デメリットのいくつかはどういうわけか、今は気にならなくなっていました。
それどころか、快適さをあらためて感ずることとなり、多弦はネック幅を確保してスケールを短縮する、という方向から、スケールは4弦と同じでネック幅を狭くする、という方向へ方針を変えることとなりました。

以前のエントリーでも書きましたが、ハイパーテクニカル系のニュージェネレーション・ベースプレイヤーには、ミディアムスケール+狭い弦間、そして多フレットという組み合わせが求められるマーケット事情があり、フェンダー型に近い、オーセンティックなベーシストに受けるプロファイル(少ないフレット)であって狭い弦間、という組み合わせが既製品になく、ではどこへ製作を依頼しようか思案中であるというところまでお話ししました。

この時点でいくつか候補があり、若干のデメリットを含むために決めきれないでおりましたが、具体例を挙げて紹介しましょう。

Moonカスタムオーダー クロサワ楽器店の特別オーダー品がとても良く、これを元にアッシュボディ、そしてさらに狭いネック/弦間を実現する依頼が可能かどうか 22フレットは無理そう?(20又は21か)
Pedulla ボルトオンのシリーズでは16.5mm/22フレットで申し分なし ナットでのネック幅が太いので45mmで作れないか、その可否
Sadowsky Will Leeなら22フレット&ナローネック 18mmブリッジでのオーダーが可能 フルサイズボディで作れるか?
F-bass やりたいことは全てオーダーで可能 ただし高額
Alembic 上に同じ

ムーン、ペデュラ、サドウスキーに関しては、具体的な相談は行っておりませんが、そうこうするうちに進捗があり、F-bassとAlembicからは概算見積もりの回答が来ました。
予算をオーバーしていることは事実ですが、十分検討の価値はありそうです。
そして、そのためにまだいくらか手放して良い楽器があるのかも、慎重に考えます。
というわけで、この件は動きがありましたら報告いたします。